テーマ:解熱剤の使い方
 

 四歳の子どもがよく風邪をひいて熱を出すのですが、解熱剤を使ったほうがよいのでしょうか? なるべく使わないほうがよいとも聞くのですが…。
 
 


 風邪の原因は、たいてい風邪ウイルスの感染で、体温が高くなることがあります。しかし風邪をひ
いて熱が出るというのは、無駄なことではないのです。それは体温を上げて、今、体を攻めているウイルスの住みにくい環境をつくって、体を守ろうとしているからです。従って、熱が高いからといってすぐに解熱剤を使うと、風邪ウイルスは図に乗ってしまうので、風邪を治りにくくしてしまいます。
 しかし私たちは健康なときの体温は三十六度くらいですから、体温が高いと気分が悪いし、食欲がなくなる、眠れないなどつらくなります。このようなときは、水を飲んで汗をかきやすくしたり、気持ちが良いように衣服を調節したり、部屋が暑すぎないようにしたり、頭を冷やしたりして様子を見ます。
 それで熱が下がるわけではありませんが、このようなことで気分が良くなれば、むしろ解熱剤を使わないで経過を見たほうが、ウイルスを抑えて病気の治りも早いのです。もしそのようなことをしてもつらそうなときには、解熱剤を使うことがあります。
 従って、熱があるからといって解熱剤を使うのではなく、初めはなるべく様子を見て、解熱剤を使うのはそれから後の、全体の様子によります。
 
(子どもの城・小児保健クリニック小児科医・巻野悟郎)